くちぶえブログ

田舎暮らしのあれこれを綴っていきます。

『田舎暮らしの物件購入』その2

上下水道の有無

上水道は無い場合が多い。その場合は井戸水か、ボーリングして地下水汲み上げになる。湧き水は獣の糞尿など不衛生も考えられます。

【井戸】

先住民の井戸を利用する場合、中を照らして見た方が良い。壁が石組みなら良いが素掘りの場合(深い穴を掘っただけ)、土が崩れている可能性がある。底の土をさらわないと使用できない。
我が家の井戸は素掘り、壁が崩れていました。

【ボーリング】

澄んだ水が出るまで、深い穴を掘っていく。海抜が高ければ掘る深さが増し、比例して工事費も増えていく。ボーリングをしたご近所さんから、費用や業者さんを聞くのが安心。

我が家はボーリングです。宅内の水道配管も含めて工事費は100万円ぐらい(海抜250m)。20年前ですが、今でも極端には変わりはないと思います。地上の水を汲み上げるポンプが20万円ぐらい。これは昨年(2023年)に交換した時の金額です。耐用年数約20年でした。
ごくたまに保健所で水質検査をしています。(大腸菌などの有無)

特筆すべきは地下水なので、お茶、コーヒー、そばを茹でても美味しい。お風呂もお湯がピリピリせずに、肌荒れもおさまりました。

【下水道】

これも田舎には無い場合が多い。しかし農業集落の下水事業などが、完了している地域もある。その場合は街と同じような下水となっている。各戸で浄化槽をつける必要も無く、水洗トイレが設置できる。
我が家の現在です。でも移住当初の2年間は、汲み取り便所でした。

お風呂は五右衛門風呂(薪風呂)掘り進んだボーリングから、水が噴き出た時には感動しました。(やっとフロに入れる、)が頭に浮かび、ホッとした事を憶えています。

■水利権や地域の農業組合について

田に水を引く場合、水利権があるかもしれない。昔から田の水では争い事が起こる。ちなみに私の地域では争い事はありません。用水路の掃除や草刈は利用者達が行います。
また地域の小規模の農業組合もあり、高額のコンバインなどを共有しています。就農する場合は、地域と無関係では仕事が出来ないと思います。私は木工職人ですが、やはり地区の農業用水の草刈にも参加しています。

燻製する前の肉の塩抜き。水は本当にありがたい。

燻煙をかけて風にさらしているベーコン。カラス注意!です。

■買うか?借りるか?

こちら側からすると、お金を払って失敗したくないので借りたい。地主側は売りたい、これは良くあるパターン。私は(年に12万円ぐらいで借りるか?)ぐらいに考えていました。

その後『買いとって、この地に根を張って暮らして欲しい』との地主さんの思いを受け買い取りに変更。ただ木工の独立資金がいるので、安くしてもらいました。
とはいえ田舎は、土地の売買実績が無いので相場がありません。つまり(これぐらいなら払えるし、払ってもいいかな?)で決まりました。

600坪(宅地と畑)で軽自動車の新車ぐらい。安いか?高いか?は分かりません。行政のホームページ『空き家バンク』を覗くと、狭ければ10万円台から、一軒家があったりします。投資目的で買う訳では無いので、自分が満足できるかが重要です。

【買うメリット】

安い物件とはいえ一国一城の主。結婚して居住実績があると、信用に繋がるようです。公的機関や銀行から借り入れがしやすい。実際に借り入れがスムーズでした。もし何か始めるなら、信用はあった方が良い。

【物件を借りる場合はご注意を!】

必ず不動産の賃貸契約書を取り交わした方が良いと思います。文具店で買ったり、ダウンロードして作成できます。

これをやらないで実際にあった例
■廃屋なので安く借りる→綺麗にリフォーム→それを見て家主が物件返却を要求
■借りた土地で商売で利益を上げたら、家主が物件返却を要求

これを身近で何例か見ました。契約書があれば、言った言わないの押し問答が防げます。

車買うよりも田舎に家と土地を買う。楽しめます。

次回は『面倒くさい?田舎の行事』を書くか、それとも『田舎暮らしのメリット・デメリット』にするか考え中です。どうぞ宜しくお願いします。

『田舎暮らしの物件購入』その1

『移住』『田舎暮らし』言葉のイメージは、『穏やか』『ほのぼの』といった感じでしょうか?しかし『現実は甘くない』という意見も多く聞かれます。私はやり方次第、感じ方次第、人それぞれだと思っています。また、移住する年齢によって、項目の重要度は左右されます。
少しでも考える手助けになるように、私なりの考えを書いてみます。

我が家の畑と住まい。奥が元農機具倉庫、現在の工房です。

土地選びのポイント『暮らしのこと』

■買い物できる場所は?

我が家は東西南北どの方向に行ってもスーパーまで車で30分弱。横浜時代と比べると遠い。しかし渋滞はゼロ、四季の景色の移ろいも楽しめ、さほど苦ではない。
ある程度のまとめ買いなので車が必需品です。

■病院や学校までの距離は?

【病院】
やはり車で30分弱。大きな怪我をすると救急車を呼ぶか、自力で病院に行くか悩む距離。大きな怪我については、今はドクターヘリもあるので安心感がある。
余談ですが以前仕事で大怪我をした際、救急車→ドクターヘリと連携して搬送していただいた。
すぐに処置が出来たので、街と変わらない医療が受けられたと思っています。

【学校】
子育て世代には大問題。我が家も直面しました。生徒数の減少から、学校は統廃合。複式学級の可能性があり、生徒数が少ないので球技が出来ない。運動会は父兄も参加する。
その時、父兄は弁当持参、児童と親戚で昼食をとる場合がある。のどかではあるが、よそ者とシングルには厳しい。
しかし色々と目が行き届くので、街の学校へ中学高校と通うと成績優秀者が多い。この点は予想外でした。

■人口密度を含めた環境

『何を求めて移住をするのか?』これが大事。目的を明確にブレにくい方が良いと思います。
ポツンとした一軒家的な環境を求めている場合、近くに県道や村道があるか?行き止まりではないか?地図も見た方が良い。現地で電柱等の確認、農業や木工をやりたい場合は、200ボルトの電線も確認しておくと安心です。

近くの道が私道だと、電柱は自費で立てる事になるかもしれません。『自給自足するので一切不要』こんな方も注意しなければいけないのは、山の土だと作物は出来にくい。
廃屋の農地の場合、先住民のご先祖様が、何百年も掛けて土を作った畑がある。私のような農業未経験者でも、家庭菜園で野菜が作れます。

■騒音の問題

私は木工作業が仕事。さらに大音響で聞く音楽、楽器も吹きたい。街では全部が難しい。その他ストーブの薪づくり、バイクの改造、騒音の発生源はたくさんある。田舎だから全てが許される訳では無い。
ご近所さんと仲良くしておく必要があるかも?

庭で行う薪割り、いい音とは思いますが響きます。

土地選びのポイント『土地のこと』

■土地の条件(広さ、陽当たり、傾斜、水脈の有無)

やはり『何を求めて移住をするのか?』にかかってきます。私の条件『広さが300坪以上、住まいの建物と工房にする農機具倉庫等が必要、畑があればなお良し』でした。これも人それぞれです。
晴れの日、雨の日の現地を肉眼で確認する、これが基本だと思います。

【水脈の事】
山が居住地の近くにある場合、山水が出る恐れがあります。公的なハザードマップで土石流や土砂崩れ、洪水の危険地域でないかの確認する。現地で住民に聞き取りをする。
可能ならば雨が数日続いている時、水溜りが出来ている箇所を確認する。それが建物に近い場合、土台部分の木に腐りなどの損傷があるかもしれません。外からは見えにくかったりします。

■土地の地目

地目は気にしていない方が意外と多い。例えば田畑が購入地に含まれる場合は農地法の制限がある。さらに田は、圃場整備で税金が投入さている場合は制限が多くなる。
畑にだって勝手にはガレージなどは作れない。地目の変更は、現地の農業委員会の承認が必要。

私は畑を材木置き場流用。そこは畑から雑種地に、地目変更しています。
手順は
■農業委員(現地の農家複数人)に、地目を変えたいと打診
■変更する畑の簡単な平面図と土木会社の見積を揃える
(金銭的に実現できる範囲の計画)
■変更した場合、耕作以上のメリットがあるとの書類を作成し、これらを役場に提出

この後、地目変更許可証が県から発行されました。そして行政書士に依頼し、畑の所有者変更をした登記簿を作成しました。

※地目が農地のままだと、農家以外は地主になれません。
私の購入地に畑が含まれていたので、まずは元地主さんと確約書を交わしました。そこには現所有権は私だと明記しています。地目変更後は登記簿の所有者を変更出来ます。
なんだかんだで1年ぐらいかかったとと思います。これで証書的にも、晴れて畑(雑種地)が自分の物になりました。(売買も可能)

手前が工房、奥が廃屋だった住まいです。

『田舎暮らしの物件購入』その2、に続きます。

手仕事しながらネットでやりたい事

私が携わる仕事は手仕事の分野。現在、田舎に工房を開設してから約20年。それなりに社会情勢の変化を味わってきました。

工房の近所の風景

バブルが崩壊した頃の独立開業(2000年)
悪い時にスタートすれば良くなる事しかない、と楽観的。実際この頃はバブル崩壊と言えども、まだ物が売れる実感があった。

そしてリーマンショック(2008年)
手仕事の品は高価なので売りにくさを感じていたけど、まだ何とかしのげた。

そしてコロナ禍(2019年~)
百貨店の催事売り場は閉ざされ、展示会も消えた。廃業者も出たほど。

だいたい10年おきにやってくる、個人では太刀打ちできない出来事。私の場合、結果を出し始めると不運が起きてきた。この先も再び遭遇する可能性が高い。だけど今まで何とかなってきたので(きっと何とかなる!)とやっぱり楽観的です。

工房内部の様子

そして本題、ネットでやりたい事
【木工編】
本来はアシスタントを雇ったりして伝承していく技法。ところが最低賃金の支給という壁がある。昔の様に『ご飯食べさせてあげる代わりに安月給』は通用しない。人を雇うというハードルは上がっている。

一方で木工を覚えたい側にとっては、教わる場所がなくなった。YouTubeが一番の先生、という方も多いと思う。

ならば私も『知っていることを伝える』という事を、やってみたい。noteやホームページを使って、、、
例えば、木工技法の中でもホゾ組や埋め木、研ぎや塗装等の工程も面白いかも。画像と動画を交えたらもっと面白いかも。

しかしこれはページ作りに手が掛かりそう。ぼちぼちとやっていきます。

いすの脚、ホゾ組加工

【田舎暮らし編】
田舎にあこがれて移住する方も多いと思います。私もその一人、横浜から山あいの村にやってきました。

その理由の一つ。木工房は広い土地が必要な場合が多い。何トンもある丸太を、天然乾燥させたいなら尚更のこと。陶芸だって薪窯の味わいを求めれば広い土地がいる。山には粘土だってある。
染色も自分で釜をすえたり、竹は竹を求めて山に入ったり。

このように工芸は、自然界の素材を加工したものなので、田舎ととても親和性が高い。このことを踏まえ『いつかは工房開設』と希望を持つ方の一助として、情報提供が出来たら有意義だと感じている。

例えば、土地や廃屋の取得。廃屋リフォームや菜園などの暮らしについて。私の実例が誰かの参考になれば、と思っています。

廃屋の物置➤子供部屋へとDIY

更新頻度に自信はないのですが、自分にプレッシャーをかけずに、自由に書きたいと思っています。
改めて、どうぞ宜しくお願いいたします。

私の移住(横浜➤村)

移住にもI・J・Uと色々ある。移住のローマ字表記とも似ている。
■ Iターン=故郷から移住地への引っ越し
■ Jターン=故郷を出たのちに故郷近くへの引っ越し
■ Uターン=故郷を出たのちに故郷へ戻る

この中ではおそらくアイターンが一番ハードルが高いと思うので、私の実例を。
移住の手順
■希望の移住先を決める
■物件を探す
■引っ越す
書くとあっけないので、少し詳しく書いてみます。

移住した20年前は、年に数回雪が降りました

希望の移住先を決める

私には資金が無かったので、移住失敗は許されない。
『移住してもすぐに立ち去る』これは実際に良くある話。それなので少し慎重に。移住候補の周りの街に、まずはアパートを借りてひとまず暮らす。アルバイトが探せる地域を選びました。

私は別府の竹の専門校(旧、職業訓練校)に入学し、失業保険の給付を受けて、竹細工の勉強をしました。なので訓練生の時は、生活費の心配はありません。
しかもこの時に知り合いが多く出来て、後々助けていただきました。縁もゆかりも無く、現在の土地を見つけられた理由です。

廃屋だった我が家

物件を探す

第一前提として『見ず知らずの他人に先祖代々の土地を売りたくない。』この気持ちが、一部の田舎の方々にはあります。『変な人が来て村を荒らされたくない』という気持ちは、たやすく理解出来ます。それなので人づてで探すのが良いかもしれません。

私の場合、竹の専門校の生徒達に『廃屋を探しているので、物件と人を紹介してください。』と訴えかけました。そして当時の村会議員を紹介してもらい、様々な地区の廃屋を見て回りました。(20軒ぐらい)

他にも行きたい土地の市役所に電話をかけて、『移住したいので土地を探している。』と伝えました。私の時の20年前と違って、今は各自治体が移住に力を入れています。シンプルな手ですが有効かもしれません。
ネット検索にて移住者に対する補助金を比較するのも良いと思います。廃屋のリフォーム代金の補助がある自治体も見たことがあります。

過疎化が進む田舎は、廃屋が沢山あります

その地へ引っ越す

『田舎に引っ越す』付き合いが面倒くさいと尻込みしがち。正直に書けば、面倒くさいです。ただ街にも面倒くさい人はいます。

良い人や自分の味方と付き合い、波風立てない方が無難。いずれ分かり合えるか、お互いの距離感がつかめると思います。

私がまずやったことは、地域の区長に挨拶がてらの自己紹介。と同時にご近所さんに挨拶巡り。これは必要かどうかはわかりません。
私は『田舎暮らしを楽しむ』『木工の工房を開設する』という目標があったので、スムーズに進むためにも必要だと考えました。

移住と共に授かった長女、今は成人しました

次回の予定は➤『物件購入のこと』『面倒くさい?田舎の行事』など書いていきます。

初、はてなブログです!

はじめまして『くちぶえ』と申します。
まだ本名で書くか、ニックネームで書くか決めていません。ニックネームの方が、感じたことを自由に書けるような気がしていて…?
田舎で工房を営む50代(男)です。

工房での作業風景

ブログでは田舎暮らしや、そこで起こる様々なことを綴っていきます。

田舎暮らしの中で感じたことや思い、バーベキューや菜園など、街とは違った誇れるものがあります。

(私は横浜から20年前に移住したので、田舎に憧れが強かったせいもあるかも?)

 

マイペースの更新になると思いますが、どうぞ宜しくお願いします!

工房の所在地、暮らし自体が少しアウトドア的です